こんにちは!発達障害と診断されてから、自分の居場所を見つけることに苦労してきた私の物語をシェアします。「就労訓練ってどんな感じ?」「発達障害があっても働ける場所ってあるの?」と悩んでいる人に、私の経験が少しでも参考になればと思います。
きのこ農園での就労訓練で私の人生は大きく変わりました。毎日同じように見えるきのこの成長過程を観察することで、実は自分自身の成長も感じられるようになったんです。
この記事では、発達障害を持つ私がきのこ農園での就労訓練を通して見つけた「生きる意味」や「自分の強み」について正直にお話しします。就労支援や障害者雇用に興味がある方、自分の居場所を探している方、そして何より「明日も頑張ろう」と思えるきっかけを探している方に読んでもらえたら嬉しいです。
きのこと一緒に、私も少しずつ成長していく日々の記録、始めます!
人混みの中で視線が合うこと、雑談の輪に入ること、急な予定変更に対応すること…。これらは多くの人にとって当たり前のことかもしれません。しかし発達障害を抱える身として、これらは毎日の「戦い」でした。学校でも職場でも、どこにいても「ここは自分の居場所ではない」と感じ続けてきました。
何度も転職を繰り返し、自分を責め続けた日々。そんな中で出会ったのが「フォレストマッシュルーム」という小さなきのこ農園での就労訓練でした。最初は単なるステップアップの一環として考えていましたが、ここで過ごす時間が少しずつ私の人生を変えていったのです。
きのこ栽培には明確な手順があります。菌床の準備、温度管理、水分調整…。全ての工程が視覚化され、マニュアル化されています。予測可能な環境、明確な指示。これは発達障害を持つ私にとって、とても働きやすい環境でした。「ここなら失敗しない」という安心感が、初めて仕事に対する自信をくれました。
特に印象的だったのは、菌糸が少しずつ培地に広がっていく様子を観察する作業です。一見、何も変化していないように見えても、毎日少しずつ確実に成長している。そんなきのこの姿に、自分自身を重ねるようになりました。人と比べれば遅いかもしれない。でも、確実に前に進んでいる—そう思えるようになったのです。
農園長の田中さんはいつも「きのこは急かさないと教えてくれる」と言います。自然のリズムに合わせることの大切さを、きのこ栽培を通して学びました。他人と同じペースで進む必要はない、自分の特性に合った方法で生きていけばいいのだと気づいたのです。
就労訓練を始めて半年が経った頃、初めて自分が育てたシイタケが収穫できました。その喜びは言葉では表現できません。何かを最後までやり遂げた達成感、自分の手で命を育てた充実感。これまで感じたことのない感情が胸に広がりました。
きのこ栽培の面白さは、失敗しても次につながることです。うまく育たなかった原因を分析し、次の栽培に活かす。この繰り返しが、私に「失敗は成長の糧」という考え方を教えてくれました。以前の私なら失敗を恐れて新しいことに挑戦できませんでしたが、今は違います。
現在、私はこの農園で週4日働いています。まだ体調が優れない日もありますが、以前のように「自分はダメな人間だ」と思うことはなくなりました。きのこのように、自分のペースで少しずつ成長していけばいいのだと思えるようになったからです。
発達障害は「個性」であり「障害」でもあります。その両面を受け入れながら、自分に合った生き方を見つけることが大切だと感じています。きのこ農園という場所で、私は初めて「生きる意味」を見つけることができました。それは「誰かの役に立つこと」でも「社会的な成功」でもなく、ただ「自分らしく存在すること」だったのです。
きのこ栽培の世界に足を踏み入れて、最初に驚いたのは「待つこと」の大切さです。就労訓練で椎茸の菌床栽培に携わるようになり、自然のリズムに合わせた作業の流れに、日々新たな発見があります。
菌床づくりから収穫までの過程は、まさに人生の縮図。最初に良質な原材料(おがくずと栄養剤)を選び、適切な水分量に調整し、高温で殺菌します。これは人生の土台づくりに似ています。良い環境と基礎があってこそ、その後の成長が保証されるのです。
特に印象的だったのは、菌糸が菌床全体に広がるまでの「培養期間」。この時期は温度・湿度を一定に保ち、外部からの雑菌を防ぎながら、ただひたすら菌糸の成長を待ちます。一見、何も起きていないように見えますが、実は内部では懸命な活動が続いています。
「焦らず待つこと」の大切さを学んだのは、この培養期間でした。毎日同じように見える菌床を観察し続けるなかで、小さな変化に気づく目も養われました。人生もまた、目に見える成果が出るまでに地道な努力の期間があるものです。
そして発生処理の後、ついにきのこが顔を出す瞬間。数日で急成長する様子は圧巻です。栽培者の工藤さんは「きのこは一晩で人生が変わる」と笑います。人間社会でも、長い下積み期間の後に、チャンスが訪れた時の成長は急激なものかもしれません。
収穫の喜びもさることながら、失敗から学ぶことも多いです。温度管理のミスで変形したきのこ、害虫被害…。しかし、この農園では「失敗こそ最高の教材」と捉え、次回の改善につなげる姿勢が根付いています。
就労訓練という形できのこ栽培に関わることで、私は「プロセスを大切にすること」「失敗を恐れないこと」「自然のリズムを尊重すること」を学びました。これらは農業だけでなく、私自身の生き方にも影響を与えています。
JA全農や日本特用林産振興会の統計によると、国内のきのこ市場は安定した需要があり、就労支援の場としても注目されています。環境に優しい循環型農業としての側面も、現代社会において重要な価値を持っています。
きのこが暗闇から光を求めて成長するように、私も自分の居場所を見つけ、少しずつですが確実に成長しているように感じます。次回は、農園での人間関係と、そこから学んだコミュニケーションについてお伝えします。
梅雨の長雨が続いていた火曜日のことだった。前日から体調を崩していたが、休むことに罪悪感を感じて無理して出勤した。きのこ農園では、その日シイタケの収穫量が通常の3倍になると予想されていて、人手が必要だった。
しかし、作業を始めて1時間もしないうちに、めまいと吐き気に襲われた。手が震え、冷や汗が背中を伝った。「もう無理…」そう思った瞬間、隣で作業していた田中さんが声をかけてくれた。
「顔色悪いよ。休んだ方がいいんじゃない?」
私は弱音を吐くことを恐れていた。これまでの職場では、体調不良を訴えると「甘え」と言われた経験があったからだ。でも、ここは違った。
「大丈夫だから…みんな忙しいし」と言い訳すると、田中さんは作業を止め、農園長の鈴木さんを呼んでくれた。鈴木さんは私の顔を見るなり、「すぐに休憩室で横になりなさい」と言った。
休憩室で横になっていると、心配した仲間たちが交代で様子を見に来てくれた。菊池さんはポカリスエットを、山田さんは自分の昼食用に持ってきていたおにぎりをそっと差し出してくれた。
「無理することないよ。体調が第一だから」
「みんなだって、体調崩す日あるよ。僕なんて先月2回も早退したし」
「今日の分は明日元気になったら一緒にやろう?焦らなくていいんだよ」
その言葉に涙が溢れた。これまでの人生で、弱った時にこんなふうに優しく受け止めてもらった経験がなかった。
社会復帰を目指してきのこ農園での就労訓練を始めて3ヶ月。作業の技術だけでなく、人とのつながりや自分の体調と向き合う大切さを学んでいた。でも、根深い「迷惑をかけてはいけない」という思いから、本当の自分を出せずにいた。
その日を境に、少しずつ変わることができた。体調が悪い時は正直に伝え、できる範囲で取り組むようになった。すると不思議なことに、作業効率が上がり、以前より多くのことができるようになっていた。
鈴木さんは後日こう言ってくれた。「きのこと人間は似ているんだ。適切な環境と、互いを支え合う関係があってこそ、健やかに育つんだよ」
この言葉が、今でも私の支えになっている。ここでは、弱さを見せても大丈夫なんだ。そんな安心感が、新しい一歩を踏み出す勇気をくれている。
きのこ農園での就労訓練を始めて1ヶ月が経ちました。この短い期間でも、私の生活習慣と心境には大きな変化がありました。まず最も顕著な変化は生活リズムの改善です。毎朝6時に起床し、7時には農園に向かう生活が身についたことで、夜更かしの習慣が自然と消えていきました。以前は深夜2時、3時まで起きていることが当たり前でしたが、今では22時には眠気が訪れるようになりました。
体調面でも良い変化が現れています。きのこの栽培作業は意外と体力を使うため、自然と適度な運動になっています。特に菌床の運搬や収穫作業は全身を使うので、1ヶ月前と比べて体が引き締まってきたように感じます。また、農園で取れた新鮮なきのこを毎日食べることで、食生活も自然と改善されました。
心の面での変化も大きいです。まず、「自分の仕事が誰かの役に立っている」という実感が持てるようになりました。収穫したきのこが直売所で売れていくのを見ると、確かな手応えを感じます。農園長からの「このしいたけの形が良い」という何気ない言葉が、大きな自信につながっています。
また、同じ農園で働く仲間との関係も、私の心を支えています。就労訓練に参加している人たちは、それぞれに事情や背景を抱えていますが、きのこを育てるという共通の目標に向かって協力する中で、自然と会話が生まれ、笑顔が増えました。特に休憩時間のなにげない会話が、私の心の支えになっています。
最も大きな変化は、「明日も来たい」と思える場所ができたことです。以前は翌日の予定を考えるだけで憂鬱になっていましたが、今では「明日はどんなきのこが育っているだろう」とワクワクすることがあります。まだ社会復帰への道のりは長いですが、きのこ農園での経験は確実に私の自己肯定感を高めてくれています。
同じ悩みを抱える方にとって、就労訓練の場は単なる「働く練習の場」ではなく、自分の新たな一面を発見できる場所になるかもしれません。私にとってのきのこ農園がそうであったように、あなたの「居場所」となる場所が見つかることを願っています。
きのこ栽培の作業に携わり始めて3か月が経ちました。最初は全く知識がなく、菌床の扱い方すら不安だった私ですが、今では作業の流れをスムーズに把握できるようになりました。この就労支援施設「まいたけファーム」では、一人ひとりのペースを大切にしてくれます。支援員の方々は私が苦手なことに直面したときも、「焦らなくていいよ」と声をかけてくれました。
振り返ってみると、きのこの栽培過程と私自身の成長には不思議と共通点があります。きのこは適切な温度と湿度、そして時間をかけてゆっくりと育ちます。私も同じように、ここでの環境に少しずつ適応し、成長してきたのです。
特に気づいたのは、細かい作業への集中力という私の強みです。菌床の状態チェックや収穫時の選別作業では、他のメンバーよりも丁寧に取り組めることがわかりました。支援員の方からも「あなたの丁寧さは農園の品質向上に貢献している」と評価していただき、自信につながりました。
就労支援の現場では、単に「働く訓練」だけでなく、自分の特性や強みを発見する機会が多くあります。私の場合、コミュニケーションは苦手でも、集中力と正確性という武器があることに気づけました。これは一般就労を目指す上での大きな財産です。
また、きのこ栽培の過程で必要な「観察力」も私の強みになっています。菌糸の伸び具合や害虫の早期発見など、変化に気づく目が養われました。この観察力は日常生活でも役立ち、周囲の状況をより把握しやすくなりました。
就労支援施設での経験は、単なる「働く練習」ではなく、自分自身を見つめ直す貴重な時間です。きのこと共に過ごす日々は、私に「待つこと」「変化を受け入れること」の大切さを教えてくれました。これからも自分のペースを大切にしながら、一歩ずつ成長していきたいと思います。
あなたの選ぶ 社会へのかけ橋
障がいを持つ方と社会をつなぐ“かけ橋”となり、一般社会の中で活躍するための継続的な支援を実施しています。