「働きたいけれど、自分にできるだろうか…」
「社会に出るのが怖い」
そんな思いを抱えていた頃、私は就労継続支援B型という仕組みと出会いました。
B型事業所は、障がいのある人や体調面でフルタイム勤務が難しい人が、自分のペースで働ける場です。そこでは、仕事の経験だけでなく、人とのつながりや生活のリズムも手に入れることができました。
当時の私は、長く家に引きこもる生活をしていました。外出は最小限で、人との会話もほとんどなく、日中の時間があっという間に過ぎていく毎日。
そんな時、福祉相談員から「就労継続支援B型事業所」という場所を紹介されました。
「仕事」と聞くと緊張しましたが、説明を受けると少し安心できました。
B型は、一般企業のような厳しいノルマや長時間労働ではなく、自分の体調や能力に合わせた働き方ができるとのこと。まずは見学から始めることにしました。
見学の日、扉を開けた瞬間に感じたのは、穏やかな空気でした。
机に向かって黙々と作業する人、スタッフと笑顔で会話する人…。
私が思っていた「職場」の緊張感とは違い、温かさと安心感がありました。
初めて挑戦した作業は、シール貼りや簡単な組み立て作業。
手先の動きがぎこちなかった私に、支援員さんが「ゆっくりで大丈夫ですよ」と声をかけてくれました。
その言葉が、不安で固くなっていた心を少しずつほぐしてくれたのです。
通い始めて最初の1か月は、週に2〜3日、午前中だけ。
慣れてくると午後まで参加する日も増え、生活のリズムが整ってきました。
B型事業所では、こんな作業がありました。
農作業(野菜や花の栽培)
軽作業(部品の組み立て、袋詰め)
清掃作業
PCを使ったデータ入力
どの作業も、得意不得意を考慮して担当を決めてくれるので、自信を持って取り組めます。
B型事業所での仕事は「工賃」として収入が得られます。
金額は多くはないけれど、自分で稼いだお金で好きな物を買ったり、外食を楽しんだりできるようになりました。
それ以上に大きかったのは、「自分も役に立てている」という実感です。
以前は「できないこと」ばかりに目がいっていましたが、支援員や仲間からの「ありがとう」が私の自己肯定感を育ててくれました。
B型事業所には、さまざまな背景や個性を持った人がいます。
年齢も経験も違うけれど、同じ空間で一緒に作業し、休憩時間には世間話を楽しむ…。
孤独だった私にとって、仲間がいることの心強さは計り知れません。
もちろん、時には意見が食い違うこともあります。
でも、その度に支援員が間に入り、お互いを尊重する方法を教えてくれる。
その経験が、外の社会でも役立つ「人間関係の練習」になっています。
B型事業所に通い始めた頃は、
「自分にできることはあるのか」
「迷惑をかけないか」
という不安でいっぱいでした。
けれど、今では週5日通えるようになり、作業の幅も広がりました。
生活リズムが安定し、体調管理のコツもつかみ、将来の目標を考える余裕も出てきました。
何より、「ここに来れば自分の居場所がある」という安心感が、私の心を支えています。
就労継続支援B型は、単なる「働く場所」ではありません。
それは、不安から希望へと変わるためのステップであり、社会とのつながりを取り戻す場です。
もし、今のあなたが
働くことに自信が持てない
外に出るのが怖い
誰かと一緒に何かをしたい
そう感じているなら、B型事業所という選択肢を知ってほしいと思います。
一歩を踏み出せば、そこにはきっと、あなたの居場所が待っています。
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