〜「できない」じゃなく、「やってみたい」から始まる仕事〜
「働くってなんだろう」
「社会とつながるって、どういうこと?」
障がいや生きづらさを抱える人にとって、それは時にとても大きな問いになります。
でも、就労継続支援B型事業所では、“その人のペース”で、無理なく、安心して働ける環境が整えられています。
そして、そこで見えてくるのは、**「働くことは、自分の可能性に気づくこと」**という事実。
今回は、あるB型事業所の取り組みを通じて、働くことの意味や、才能が花開く瞬間を丁寧に追いかけてみましょう。
就労継続支援B型に通うことを決めた方の多くは、最初、不安と緊張でいっぱいです。
長い間、家から出られなかった
仕事で失敗した経験がある
人と話すことに強い抵抗がある
自分に何ができるのかわからない
そんな思いを抱えたまま、一歩を踏み出す。
でも、その一歩を受け止めるのが、支援員と事業所の柔らかい空気です。
「無理しなくていいよ」
「今日はここまででOK」
「それ、すごく丁寧だね」
そんな声がけが、やがて利用者の心をほどいていきます。
B型事業所で行われている作業は多種多様です。
箱の組み立てや商品の袋詰め
農作業や園芸、清掃活動
手芸やアクセサリー作り
パソコンを使った簡単な入力作業
お菓子や雑貨の製造・販売
どの作業にも共通しているのは、**「できる人がやる」ではなく、「やってみたい人が挑戦する」**という姿勢。
試しにやってみることで、「思ったより楽しい」「これなら続けられそう」と感じる利用者も多くいます。
やがて、「私はこれが得意です」と自信を持って言えるようになる瞬間が訪れます。
一般の職場では、「早くできるか」「正確にできるか」が重視されます。
でもB型事業所では、その人の“伸びしろ”を信じて待つ支援が行われます。
たとえば、最初は作業中にすぐ手が止まってしまう方が、数か月後には1時間集中して続けられるようになったり。
言葉が少なかった方が、「これでいいですか?」と自ら声をかけるようになったり。
これらの変化は、「本人の中にある芽」が、安心という土壌の中で少しずつ育っていく証です。
焦らせず、比べず、信じる。
それが、才能の花が開く準備になります。
多くのB型事業所では、利用者が手がけた製品を、地域のイベントやネットショップ、直売所などで販売しています。
そして、これが**「誰かの役に立つ喜び」や「人とのつながり」**を実感できる大きなきっかけになります。
「この刺しゅう、かわいいですね」
「前に買ったクッキーがおいしかったからまた来ました」
「ありがとう。また来てね」と言える自分がいる
こうした体験を通じて、利用者は**「私は誰かに必要とされている」「社会とつながっている」**という実感を得ていきます。
それは、支援の力だけでは生まれない、「実際に動いたからこそ味わえる感覚」です。
B型事業所では、支援員と利用者の距離がとても近いのが特徴です。
毎朝のあいさつから始まり
作業の進め方を一緒に考え
不安や悩みに耳を傾け
ささやかな成長を一緒に喜ぶ
こうした日々の関わりの中で、利用者は安心してチャレンジできるようになります。
支援とは、“できるようにさせる”ことではありません。
“自分でやってみようと思える環境をつくること”。
この考えが、B型事業所の根底に流れています。
B型で開花する才能の多くは、本人すら知らなかったものであることが少なくありません。
細かい手作業に集中できる力
丁寧に人と接するやさしさ
絵や色づかいのセンス
几帳面なデータ整理の力
「向いていない」と思っていたことが、やってみると評価され、「またやってみたい」に変わる。
それが、「自信」と「希望」を生むのです。
仕事とは、収入を得るだけでなく、生活のリズムを作り、社会との接点を生み、自分の存在価値を感じる場でもあります。
B型事業所で働く中で、利用者の中にはこんな変化が見られます:
毎朝決まった時間に起きるようになった
生活リズムが整い、体調も安定してきた
笑顔が増え、会話を楽しめるようになった
少しずつ「将来こうなりたい」と話すようになった
これは、ただの作業ではなく、人生の一部として“働く”ことを通して得た成果です。
「才能」や「可能性」という言葉は、時に特別な人だけのものと思われがちです。
でも、就労継続支援B型の現場では、誰もがその人なりの輝きを持っていることが、日々証明されています。
支え合う仲間がいて
信じてくれる大人がいて
試せる環境があって
認めてくれる社会との接点がある
その中で、少しずつ、でも確実に、人は自分の“種”を育てていきます。
そして、いつかそれが大きな花を咲かせるのです。
「働くこと」は、誰かにとっての未来を開く力になる。
就労継続支援B型は、その原点に立ち返らせてくれる場所です。
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