〜「できない」から始まった、私の物語〜
「働きたい。でも、自分に何ができるのかわからない」
「外に出るのも、誰かと話すのも、ちょっと怖い」
そんな気持ちを抱えていた私にとって、就労継続支援B型という場所は、ただの「作業場」ではありませんでした。
それは、自分の内側に眠っていた力や可能性に気づかせてくれた、**大切な“きっかけの場所”**だったのです。
この記事では、B型事業所での日々を通じて得た学びや成長を、体験談の形で綴っていきます。
まず、就労継続支援B型とは何か。簡単にご紹介します。
B型事業所は、障がいや病気のある方が、自分のペースで無理なく働くことができる福祉サービスです。
雇用契約は結ばず、自由度が高い
体調に応じて通所日数や時間を調整できる
工賃(作業の対価)が支給される
日常生活や社会参加の訓練にもなる
つまり、「働くこと」に慣れる第一歩として、とても大切な場所なのです。
通い始めた最初の日。
私は、とにかく緊張していました。
「ここでちゃんとやっていけるのかな」
「迷惑をかけないかな」
「失敗したらどうしよう」
そんな不安で頭がいっぱいでした。
でも、スタッフさんは笑顔で出迎えてくれて、無理に話させようともせず、ただ“そこにいる”ことを受け入れてくれました。
それだけで、心が少しずつほぐれていったのを覚えています。
B型事業所には、さまざまな作業があります。
私の通う事業所では、主に次のようなことを行っています:
手工芸品の製作
パソコン入力や軽作業
シール貼りや商品の袋詰め
農作業や清掃活動
最初は簡単な作業からスタートし、慣れてきたら少しずつステップアップ。
うまくできないときは、周囲の仲間がそっと助けてくれる――そんなあたたかいチームのような空気感がありました。
「これ、自分がやったんだ」
「ありがとうって言ってもらえた」
その体験が、「自分にもできることがあるんだ」と思える第一歩になりました。
B型での日々は、単調なようでいて、一日一日が大きな一歩です。
朝、時間通りに起きられた
一つの作業を最後までやり遂げられた
誰かに自分から話しかけられた
困っている人に声をかけられた
そうした「小さなできた」が、少しずつ自信へと変わっていきます。
スタッフの方々は、その成長にすぐ気づいてくれます。
「前より手際がよくなったね」
「今日は表情がやわらかいね」
そうした何気ない言葉が、「見てもらえている」という安心感につながりました。
事業所には、いろんな人がいます。
長く通っているベテランの人
最近通い始めた人
寡黙な人、よく話す人
得意なことが違う人
最初は人間関係に不安がありましたが、少しずつ話せるようになり、今では**“仲間”としてのつながり**を感じています。
同じ空間で、同じ作業をすることで、言葉が少なくても、少しずつ気持ちが通い合っていきます。
それが、孤独感から私を救ってくれました。
この事業所のスタッフさんたちは、**支援者というより“伴走者”**のような存在です。
指示するだけではなく、一緒に考えてくれる
困ったときには先回りではなく、相談してくれる
できたことを大げさに褒めるのではなく、自然に認めてくれる
その姿勢に、私はとても安心しました。
「できないこと」ではなく「できること」に目を向けてくれる場所。それがB型の魅力だと感じます。
事業所に通う中で、私は次第に「次のステップ」を考えるようになりました。
少し外でボランティアをしてみようか
地元のイベントに参加してみようか
将来的に、短時間でもアルバイトに挑戦してみようか
以前の私は、外の世界が怖くて仕方ありませんでした。
でも今は、「少しずつなら、大丈夫かもしれない」と思えるようになったのです。
B型事業所での時間が、その「可能性の芽」を育ててくれたのだと思います。
ここで働くようになって、私が得たものはたくさんあります。
自分のリズムで過ごせる安心感
仲間とつながる喜び
支え合える人間関係
小さな成功の積み重ね
そして、“未来を考えてもいい”と思える気持ち
それはすべて、「無理せずに、でも前に進める場所」だったからこそ得られたものだと思います。
もし、あなたやあなたの身近な方が「働くことに不安」を感じているなら、B型事業所という選択肢を考えてみてください。
長いブランクがあっても大丈夫
自分に合った作業がきっとある
支援者や仲間が温かく迎えてくれる
B型事業所は、「働ける人だけ」の場所ではありません。
**「働きたいと思ったときに、一歩を踏み出せる場所」**なのです。
「私には無理」と思っていたあの頃。
でも、勇気を出して扉を開けてみたら、そこには自分の居場所がありました。
就労継続支援B型という場で、私は少しずつ前に進んでいます。
その歩みはゆっくりかもしれないけれど、確かに「自分の未来」をつくる力になっていると感じます。
可能性は、誰の中にもあるもの。
その存在に気づく場所が、B型事業所なのかもしれません。
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