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障害を個性に〜小田原作業所からの発信

障がいという言葉を聞いたとき、多くの人が「できないこと」「制限されること」といった印象を持つかもしれません。でも、現場にいるとまったく違う景色が見えてきます。
それは、「障がいは“個性”であり、“力”にもなる」ということ。

今回は、海と山に囲まれた自然豊かな地域にある、とある作業所をモデルに、障がいを“個性”として活かす現場のリアルを紹介します。暮らしと仕事がゆるやかにつながるその日々には、「共に生きる社会」のヒントがたくさん詰まっています。


■ 作業所ってどんな場所?

まずは基本から。障がいのある方が通う「作業所」とは、就労継続支援と呼ばれる福祉サービスのひとつです。

● A型とB型のちがい

  • A型:雇用契約を結び、一定の給与を得ながら働く場所。出勤管理や業務の責任など、より“就職に近い”支援が行われます。

  • B型:雇用契約は結ばず、作業内容や時間が柔軟に調整されます。働くことが初めての方や、生活リズムを整えることが目的の方も多くいます。

どちらも「働くことで社会とつながる」ことが目的。作業内容は封入・清掃・農作業・軽作業・クラフト制作などさまざまです。


■ 見えてきた「ちがいが活きる」現場

ある作業所の1日は、驚くほど多彩な動きにあふれています。

  • 指先の器用さを活かして、封筒にシールを貼る人

  • コミュニケーション上手で、お客さんに商品を渡す役を担う人

  • 植物が好きで、毎朝花壇の手入れをする人

  • パソコンが得意で、データ入力やデザインを担当する人

得意なこと、苦手なこと、好きなこと、こだわりがあること。
それらが「活かされる場所」であることが、作業所の最大の強みです。

ここでは、誰かの「できないこと」を責めたり、無理に合わせることはしません。
逆に、「あの人はそれが得意だからお願いしよう」という発想が自然と生まれるのです。


■ 障がい=マイナスじゃない。「その人らしさ」のひとつ

作業所で働く人たちは、いわゆる“普通”の働き方には馴染みにくいかもしれません。けれどもそれは、「別の可能性を持っている」ということ。

例えば…

  • 決まった手順を正確に繰り返すのが得意な人

  • 静かな環境でこそ集中力を発揮する人

  • 少しずつ進歩することで力をつけていく人

それらは一般の職場では見過ごされがちな「強み」です。

「障がいがあるからできない」ではなく、
「こういうやり方なら力を発揮できる」という考え方が根づいている場所。

それが、この地域の作業所の魅力です。


■ スタッフの支援=ともに試す姿勢

作業所で働くスタッフは、利用者の“サポーター”というより“伴走者”です。
教えすぎず、放っておかず。
うまくできないときは、一緒に手順を考え直す。
やる気が出ないときは、まず話を聞くところから始める。

「この人ならこうしたら動けるかも」
「今日はここまでできたらOKにしよう」

そんなふうに、ひとりひとりに合った“歩幅”でサポートするのが支援のコツ。
決してマニュアル通りではありません。人の数だけ支援の形があります。


■ 地域とのつながりが自信になる

作業所での活動は、地域との連携の中でどんどん広がっています。

  • 地元商店と連携して商品の袋詰めやシール貼りを担当

  • マルシェやイベントでの自主製品販売

  • 公園の清掃や花壇の手入れなど、地域貢献活動

「ありがとう」と言ってもらえる体験、
自分の作ったものが売れる体験、
誰かの役に立っているという実感。

それらが、「社会とつながっている」という確かな感覚をもたらします。
支援を受ける側、ではなく、“地域の一員”として過ごす日常がここにあります。


■ 「発信する」ことが力になる

最近では、作業所自身がSNSやブログなどを通じて活動の様子を発信する動きも増えています。

  • 作った製品の紹介

  • 日々の活動報告

  • 利用者の作品や思いの共有

こうした発信を通して、「見えにくかった障がい者の仕事や生活」が、少しずつ社会に届いていきます。

情報発信は、世の中への「わたしたち、ここにいます!」という宣言でもあります。
そして、共感や応援が集まることで、当事者にも大きな自信が育っていくのです。


■ 多様性を受け入れる場所から、多様性を発信する場所へ

多様性という言葉がよく使われるようになった今、
本当にそれが「力」になるためには、受け入れるだけでは足りません。

“多様性が活きる”環境をつくること。
そしてそれを“発信”していくこと。

作業所の役割は、単なる就労訓練にとどまりません。
「こんなふうに、ひとりひとりが輝ける社会もあるんだよ」と、
地域や社会にメッセージを送り続ける、いわば福祉のアンテナでもあるのです。


■ これからの社会に向けて

世の中にはまだ、「障がい=大変なこと」というイメージがあります。
でも、実際の現場はちがいます。

障がいのある人の中にこそ、
粘り強さ、観察力、創造性、優しさ、
たくさんの“強み”が眠っています。

作業所という小さな場所で、それらの力が少しずつ花開いています。
それは社会の可能性を広げる“発信”にほかなりません。


■ まとめ:個性は武器になる

「障害を個性に」――それはただのスローガンではありません。
日々の現場の積み重ねが、それを現実のものにしています。

小田原のような自然と人がゆるやかにつながる地域だからこそ、
おだやかに、ていねいに、「その人らしい働き方」を育むことができるのかもしれません。

誰かと同じじゃなくていい。
できないことがあっても、自分の持ち味はきっとある。
そんなメッセージが、今日も作業所から社会に向けて発信されています。

 

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