小田原といえば、歴史ある城下町として知られ、海と山に囲まれた自然豊かなまちです。その穏やかな風土の中に、障がいのある人たちが安心して働ける「作業所」が点在しています。ここでは、一人ひとりの“できる”を大切にしながら、手と心を通わせて過ごすあたたかな日常があります。
今回は、そんな小田原の障害者作業所の取り組みや日々の様子を通して、地域と福祉のつながり、そしてそこから見えてくる未来の姿をお伝えします。
障害者作業所とは、障がいのある方が安心して働くことができる福祉施設の一つです。就労継続支援A型・B型などの区分があり、障がいの程度や希望に合わせた支援が行われています。
自分のペースで働ける環境
作業スキルや生活習慣の支援
社会とのつながりを育む場所
仲間と一緒に成長できる空間
ここでは「できないこと」に目を向けるのではなく、「できること」「伸ばせること」を一緒に見つけていくのが基本です。
小田原は、地元愛が強く、地域活動や福祉への理解も深い地域です。そのため、作業所が地域にしっかりと根づきやすい土壌があります。
商店街や地元企業との作業連携
公共施設での清掃や管理業務
地元農家との農作業コラボ
地域イベントでの製品販売や出店参加
地域と一緒に活動することで、障がいのある方が「社会の一員」として認められ、周囲との信頼関係が生まれていきます。
作業所の一日は、穏やかだけど充実しています。時間に沿った活動の中で、利用者は自分の役割や責任を自然に学んでいきます。
時間帯 | 活動内容 |
---|---|
9:00 | 登所・朝の会 |
9:30 | 午前の作業(例:袋詰め、清掃など) |
12:00 | 昼食・休憩 |
13:00 | 午後の作業(例:クラフト制作、農作業など) |
15:00 | 終了・帰宅準備 |
作業内容は日によって異なり、単調にならないよう工夫されています。また、個々の体調や気分に合わせて無理のないスケジュールが組まれるのも、大きな安心材料です。
作業所で行う仕事は、多岐にわたりますが、どれも「誰かの役に立っている」という実感につながるものばかりです。
軽作業:商品の袋詰め、シール貼り、書類の封入など
清掃:公園や施設の清掃活動
農作業:畑での種まき・収穫・出荷準備
クラフト制作:手作り小物、布製品、アクセサリーなど
一つひとつの作業は地味かもしれませんが、それぞれに意味があり、社会とつながっているからこそやりがいが生まれます。
作業所で働くスタッフは、ただ指導をする人ではありません。一人ひとりのペースに寄り添い、やる気を引き出す「伴走者」のような存在です。
作業の手順説明やサポート
生活リズムの確認と相談支援
体調管理と声かけ
利用者同士の調整や見守り
就職希望者への就労準備支援
時には言葉よりも“目線”や“沈黙の時間”が大切になることも。心の距離を縮め、信頼を築くことが何よりの支援になります。
「できた」「ありがとうと言われた」「昨日より速くできた」——そんな小さな達成が、利用者の心を強くしていきます。
たとえ、時間がかかっても、ゆっくりでもいい。一歩一歩、目の前の作業に向き合いながら、自分自身の“力”を育てていく姿は、周囲にも希望を与えてくれます。
作業所はゴールではなく、未来へ向かう通過点です。ここでの経験を通じて、一般企業への就職を目指したり、グループホームなどでの自立生活に挑戦する人もいます。
安定した作業参加
社会的スキルの習得
職場体験や実習の実施
一般就労・地域生活へのステップアップ
誰もが同じ道をたどるわけではありませんが、それぞれに合った未来の選択肢を用意できるのが、福祉の理想です。
小田原のように、地域が福祉を理解し、温かく見守ってくれる環境は、障がいのある人たちにとって何よりの力になります。
「ふつうに暮らすことができる」「近所の人とあいさつを交わせる」「商店街で買い物ができる」——そんな日常の中に、豊かな支援のかたちがあります。
小田原の障害者作業所では、手を使いながら丁寧に仕事をこなし、心を通わせながら安心して過ごす日常があります。そこには、人としての尊厳、働くことの喜び、社会とつながる楽しさが、やわらかく広がっています。
障がいがあるからこそ、大切にしたい「時間」「言葉」「関係性」があります。そして、そうしたひとつひとつの積み重ねが、未来へとつながる“光”になっていくのです。
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