~障がい者就労支援の現場で見つけた「自分らしい働き方」~
近年、「就労継続支援B型(通称:B型作業所)」という福祉サービスが注目を集めています。障がいや病気のある方が無理のないペースで働ける場として、地域社会の中で大きな役割を果たしているB型作業所。この記事では、私自身がなぜ数ある選択肢の中からB型作業所を選んだのか、その理由を「実体験」と「客観的な視点」の両面からお話ししていきます。
まずは「B型作業所」とは何かについて簡単に説明します。
B型作業所は、障がいや精神疾患などの事情により、一般就労が困難な方が働くことを目的とした福祉サービスの一つで、「就労継続支援B型事業所」と正式に呼ばれます。雇用契約を結ばず、利用者は比較的自由なペースで作業に取り組めるのが特徴です。
A型事業所:雇用契約を結び、最低賃金が保障される。就労に対する意欲とある程度の体力・スキルが求められる。
B型事業所:雇用契約なし。利用者の体調や希望に合わせた柔軟な就労が可能。工賃は作業内容や時間によって変動。
私は数年前、精神的な不調をきっかけに長期間の療養生活に入りました。以前は企業で営業職として働いており、日々のプレッシャーと過剰な業務量によって心身ともに限界を迎えてしまったのです。
リワーク支援や障がい者職業センターにも相談しましたが、「週5日・フルタイム勤務」は到底できる状態ではありませんでした。そんな中で紹介されたのが、就労継続支援B型事業所でした。
B型作業所では、週1日・1時間からの利用も可能です。私にとって、体調に波がある中でこの「柔軟性」は非常に大きな魅力でした。
自分の調子に合わせて働けるため、通所のハードルが大きく下がり、「社会との接点を持つ第一歩」として最適でした。
事業所によって異なりますが、軽作業(袋詰め・シール貼り・箱折りなど)から、PC作業、農作業、クリエイティブワーク(ハンドメイドやWEB制作)まで、様々な作業が用意されています。
私は以前からライティングやデザインに興味があったため、そういった作業を扱うB型事業所を選びました。ここでの実務経験は、将来的な在宅ワークやフリーランスにもつながると感じています。
長く引きこもり生活が続いたことで、社会との接点がほとんどありませんでした。B型作業所に通うことで、スタッフや利用者との「日常的なコミュニケーション」が生まれ、人間関係のリハビリにもなりました。
また、同じような境遇の方と支え合えることは、メンタル面の安定にもつながっています。
工賃は多くはありませんが、「自分で稼いだお金を得る」という経験が自信を取り戻すきっかけになりました。少額でも報酬があることで、「役に立っている」という実感が湧き、生活にメリハリが出ました。
B型作業所といっても、その内容や方針は事業所ごとに大きく異なります。私が実際に見学や体験利用を通じて重視したポイントは以下の通りです。
スタッフの対応が親切で丁寧かどうか
作業内容が自分の興味や将来像とマッチしているか
通いやすい立地と環境(通所ストレスが少ないか)
体調不良時などに柔軟に対応してくれる体制があるか
実際に複数の事業所を比較し、最終的に「自分に合っている」と感じた場所を選びました。
B型作業所での日々は、ただの「就労支援」にとどまりません。私にとっては以下のような多くのものを得ることができました。
自己肯定感の回復
生活リズムの安定
小さな成功体験の積み重ね
新しい人間関係の構築
社会復帰への足がかり
中には「一般就労を目指すことが正義」と捉えられがちな風潮もありますが、B型作業所という選択肢は「一人ひとりに合った働き方を見つける場所」として、今後ますます重要になっていくと私は感じています。
現在、私はB型作業所で働きながら、週に数回の在宅ライティング業務にもチャレンジしています。無理のないペースで「自分らしい働き方」を見つけつつあり、将来的にはA型事業所や一般就労も視野に入れています。
これから就労支援を考えている方や、ご家族・支援者の方々に伝えたいのは、「B型作業所は社会とのつながりを取り戻す貴重なステップ」だということです。決して遠回りではありません。自分のペースで、一歩ずつ前に進む。それが大切だと思います。
「B型作業所を選んだ理由」は、単に“働ける場所”を探していたからではありません。
私は、自分の心と体の声を聴きながら、無理なく社会とつながれる場所を探していました。そしてその答えが「就労継続支援B型事業所」だったのです。
障がいや病気があっても、「働きたい」「何か役に立ちたい」という気持ちは尊重されるべきです。B型作業所は、その思いを形にするための素晴らしい選択肢の一つです。
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