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私とパソコンの物語 – 障がいを越えたデジタルクリエイション

「障がいがあるから…」そう諦めていたデジタルの世界で、実は私の可能性が広がっていました。パソコン1台が教えてくれた新しい生き方、そして障がいを持つ方が知っておくべき支援制度の活用法をお伝えします。

私自身も最初は不安でした。マウスやキーボードの操作に苦戦し、「これは無理かも」と何度思ったことか。でも今では、パソコンスキルのおかげで自分の世界が大きく変わりました。

このブログでは、障がいがあっても諦める必要のないデジタルの可能性について、私の経験をもとにお話しします。グループホーム生活と就労継続支援B型を利用しながら、どのようにデジタルスキルを身につけ、自立への一歩を踏み出せたのか。そして七彩(なないろ)グループホームやB型事業所での支援が、どのように私の背中を押してくれたのか。

特別な才能は必要ありません。必要なのは「やってみよう」という小さな一歩だけです。障がいのある方やそのご家族に、新しい可能性の扉を開くきっかけになれば幸いです。

1. 私が障がいと向き合いながらパソコンで見つけた「新しい自分」

手足の自由が限られていても、パソコンの前では誰もが平等なクリエイターになれる。そう気づいた瞬間、私の世界は一変した。脊髄損傷による下半身麻痺を抱えてから、「できないこと」のリストばかりが長くなっていく日々。しかし、リハビリの一環として紹介されたデジタルアートが、閉ざされていた扉を一気に開いてくれた。

最初は専用のトラックボールと音声入力を組み合わせた特殊なインターフェースを使い、Photoshopで単純な形を描くところから始めた。思うように動かない指で必死にコントロールしながら、画面上に現れる色と形に心が躍った。デジタルの世界では、私の障がいは制限ではなく、むしろユニークな視点を生み出す源になっていった。

Microsoft社のアクセシビリティ機能の進化には本当に救われた。Windows 10から搭載された視線追跡技術は、より重度の障がいを持つ友人たちにとっても創作活動の可能性を広げてくれている。Adobeのクリエイティブソフトも、ショートカットのカスタマイズ機能によって、限られた動きでも効率的に操作できるようになった。

テクノロジーの力を借りて創作活動を始めて3年目、今では自作のイラストをSNSで公開するまでになった。フォロワーからは「障がいについて知らなかった」というコメントも多い。デジタル空間では、私の作品そのものが評価され、身体の状態は作品の価値と無関係だということを実感している。

最も大きな変化は自己認識だ。「障がい者」というラベルだけで定義されていた自分から、「デジタルアーティスト」としての新たなアイデンティティを獲得できた。創作の喜びが自信を育み、チャレンジする勇気をくれる。パソコンというツールは単なる機械ではなく、私にとっては可能性を広げる魔法の杖となった。

障がいとの共存は簡単ではない。体調の波や痛みとの闘いは今も続いている。しかし、デジタルクリエイションという新たな表現方法を見つけたことで、人生の主導権を取り戻せた気がする。テクノロジーは日々進化し、以前は不可能だと思われていたことが次々と実現可能になっている。私の創作活動もまた、その進化と共に広がり続けている。

2. 「できない」から「できる」へ – デジタルスキルが変えた私の毎日

パソコンに初めて触れた頃は、マウスを握る手が震え、キーボードのキーを押す指に力が入らず、一文字入力するのにも時間がかかりました。脳性麻痺による上肢障害があるため、健常者が当たり前にこなす操作が、私には大きな挑戦でした。

しかし、諦めずに毎日少しずつ練習を続けました。マウス操作が難しい日々から、音声入力ソフトウェアとの出会いが転機となりました。Dragon NaturallySpeakingを使い始めると、思考をそのまま文字にできる喜びを知りました。さらに、Microsoft社のアクセシビリティ機能を活用し、OneNoteでのメモ取りやPowerPointでのプレゼン資料作成ができるようになったのです。

「できない」と思っていたことが「できる」に変わる体験は、単なるスキル習得以上の意味を持ちました。家族に頼らずにメールを送れるようになった時の達成感。SNSで自分の言葉を発信できるようになった時の解放感。そして、在宅でのウェブデザインの仕事を得た時の自信。

デジタルスキルの向上は日常生活も大きく変えました。オンラインショッピングで自分の好きな時に買い物ができるようになり、電子書籍リーダーのおかげで重い本を持つ必要もなくなりました。ビデオ通話アプリで遠方の友人と繋がり、孤独感も減りました。

もちろん、すべてが順調だったわけではありません。アップデートのたびに設定が変わり、使いにくくなることもありました。新しいソフトウェアの学習は今でも大変です。でも、オンラインコミュニティでの情報交換や、YouTubeの解説動画のおかげで、多くの障壁を乗り越えることができています。

障害があっても、テクノロジーがあれば可能性は無限大です。私の場合、パソコンとインターネットは単なる道具ではなく、世界への窓であり、自己表現の場であり、経済的自立への道でもありました。デジタルスキルは私に「できる」という自信と、新たな未来を見せてくれたのです。

3. キーボードとマウスが教えてくれた可能性 – 障がいがあっても広がる世界

キーボードとマウスという一般的な入力デバイスは、多くの人にとって当たり前の存在です。しかし障がいのある私にとって、これらは単なる道具ではなく、新しい世界への扉でした。最初は指の動きに制限がある私にとって、キーボードのキーを正確に押すことすら難しく感じました。一文字入力するのに何分もかかることもありました。

けれども、テクノロジーは常に進化しています。マイクロソフトのアクセシビリティ機能や、Apple社の支援技術など、多くの企業が障がいのある人向けの入力支援ツールを開発しています。私が特に助けられたのは「スティッキーキー」機能でした。Shift+Enterなどの複合キー操作が困難だった私にとって、この機能は文字通り救世主でした。

マウス操作も同様に課題でしたが、トラックボールやジョイスティック型のマウス代替デバイスと出会い、状況は一変しました。手の震えがあっても正確な操作ができるようになったのです。さらに音声入力ソフトウェアを活用することで、長文の入力も可能になりました。Googleの音声入力技術やDragon NaturallySpeakingなどのソフトウェアは、私の創作活動を大きくサポートしてくれています。

こうした支援技術のおかげで、私はデジタルアートの制作に挑戦することができました。当初は簡単なイラストからスタートし、徐々にAdobe PhotoshopやIllustratorなどの専門ソフトも使いこなせるようになりました。手の細かい動きが難しくても、ショートカットキーやカスタマイズ機能を駆使することで、自分なりのワークフローを確立できたのです。

最近では、視線入力デバイスやジェスチャー認識システムなど、さらに革新的なインターフェースも登場しています。Tobii社の視線追跡技術は、重度の身体障がいがある方々の可能性を大きく広げました。また、マイクロソフトのXbox Adaptive Controllerのようなゲーム用の適応デバイスも、レクリエーションの幅を広げています。

障がいがあることで多くの壁にぶつかりましたが、テクノロジーの進化と共に、それらの壁は次々と乗り越えられるものになっていきました。キーボードとマウスから始まった私のデジタルジャーニーは、今では自分の想像力だけが限界となるほど広がっています。

大切なのは、諦めずに自分に合った方法を模索し続けることです。テクノロジーは常に進化し、アクセシビリティも向上し続けています。障がいがあっても、創造性を表現する方法は無限にあるのだということを、私はキーボードとマウスから学びました。そしてこれからも、新たな可能性を探し続けていきます。

4. パソコン1台から始まった自立への道 – 支援制度を活用した私の挑戦

パソコン1台が人生を変えるきっかけになるとは、当初思ってもいませんでした。障がいと向き合いながら、経済的自立への一歩を踏み出すまでの道のりは決して平坦ではありませんでしたが、様々な支援制度を活用することで可能性が広がっていきました。

まず大きな転機となったのは「障害者総合支援法」に基づく就労移行支援サービスの利用です。これにより、ITスキルを磨くための専門的なトレーニングを受けることができました。特に東京都が提供する「東京しごと財団」のプログラムでは、Webデザインの基礎からクラウドソーシングの活用方法まで、実践的なスキルを習得できたことが大きな財産となっています。

また、パソコンや周辺機器の購入には「日本障害者リハビリテーション協会」の支援制度を活用しました。高性能なグラフィックソフトやタブレットなど、一般的には高額な機材も助成を受けることで負担を軽減できたのです。特に「Microsoft社」のアクセシビリティ機能は、私の身体状況に合わせたカスタマイズが可能で、長時間の作業でも疲労を最小限に抑えることができています。

さらに、在宅ワークの基盤を整えるうえで「ハローワーク」の障害者向け職業紹介サービスは非常に役立ちました。リモートワークに理解のある企業とのマッチングだけでなく、職場環境整備のためのアドバイスも受けられたのです。

技術面では「クラウドワークス」や「ランサーズ」などのプラットフォームを活用し、小さな案件から実績を積み上げていきました。最初は単純なデータ入力やバナー制作からスタートしましたが、徐々に専門性を高めることで、より単価の高い案件を受注できるようになっていきました。

オンライン学習サイト「Udemy」や「Progate」で継続的にスキルアップを図ることも欠かせません。特に「Adobe Creative Cloud」のサブスクリプションは障がい者割引があり、プロ仕様のソフトウェアを比較的リーズナブルに使用できることも追い風となりました。

自立への道は孤独な戦いではありません。「障害者職業センター」のジョブコーチ支援や「障害者就業・生活支援センター」のカウンセリングなど、精神面でのサポートを受けながら一歩ずつ前進することができました。

パソコン1台から始まった小さな挑戦は、今では安定した収入源となり、自分の可能性を広げ続けています。支援制度を上手に活用することは、決して甘えではなく、自立への積極的な一歩なのだと実感しています。

5. デジタルツールで見つけた居場所 – 障がいがあってもつながれる喜び

インターネットという世界は、物理的な制約を超える素晴らしさがあります。私のように身体に障がいがある人間にとって、デジタルツールは単なる便利な道具ではなく、新しい可能性を開いてくれる扉でした。

最初はSNSで同じ障がいを持つ人たちとつながったことから始まりました。身体は動かせなくても、指先だけでキーボードを打ち、画面上で自分の考えや気持ちを表現できる。そこには、障がいの有無に関わらない対等なコミュニケーションがありました。

特に大きな転機となったのは、デジタルアートの世界との出会いです。Adobe IllustratorやPhotoshopといったソフトウェアは、使い始めこそ難しかったものの、補助機器やショートカットキーの活用で徐々に使いこなせるようになりました。物理的に絵筆を持てなくても、デジタル上では鮮やかな色彩で作品を作り出せることに感動したものです。

また、オンラインのクリエイターコミュニティでは、作品そのものが評価され、「障がい者が作った」というラベルではなく、一人のクリエイターとして認められる経験ができました。Behanceやデジタルアート専門のDiscordグループでは、技術的なアドバイスを受けたり、時には自分がアドバイスする側になることも。そこには「できること」に焦点を当てた関係性があります。

リモートワークの普及も私にとって大きな転機でした。Webデザインの仕事をクラウドソーシングで受けるようになり、「働けない」というレッテルから解放されました。Trelloでのタスク管理やSlackでのコミュニケーションツールは、私のような障がい者にとっても使いやすく設計されています。

もちろん困難もありました。ハードウェアの操作性や、長時間のPC作業による疲労、時には技術の進化についていけないもどかしさも。しかし、音声入力ソフトや視線入力デバイスなど、支援技術の発展によって少しずつ壁は低くなっています。

デジタルツールが作り出した「居場所」は、単に社会とつながるだけではなく、自己実現の場でもあります。障がいがあっても、自分の能力を発揮し、誰かの役に立ち、時には感動を与えることができる。そんな喜びを私に教えてくれたのが、このデジタルの世界なのです。

いま私は、障がいのある人向けのデジタルスキルワークショップをオンラインで開催しています。自分が経験した苦労や発見を共有することで、同じ状況にある誰かの可能性を広げるお手伝いができたら、と思っています。デジタルツールは、私たちに新しい表現の場と、人とつながる喜びを与えてくれるのです。