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小田原

鴨宮の作業所から見える社会の本当の姿

〜静かな場所から、社会の“本質”が見えてきた〜

目立たない場所にある小さな作業所。
賑やかな街の中心から少し離れたその場所で、毎日、さまざまな人たちが静かに仕事に向き合っています。

そこに集う人たちは、障がいや病気、あるいは生きづらさを抱えた方々。
でも、その日々の営みの中には、今の社会が忘れてしまいがちな大切なものが、確かに息づいているのです。

今回は、ある就労支援作業所での日常を通して、私たちが見落としていたかもしれない「社会の本当の姿」を探っていきます。


■ 作業所という“もう一つの社会”

作業所は、ただの「福祉の場」ではありません。
そこにはルールがあり、役割があり、時間の流れがあり、人と人との関係があります。

言い換えれば、**ひとつの“小さな社会”**です。

  • あいさつから始まる朝

  • 今日の体調を確かめ合うスタッフとの会話

  • 手作業に集中する静かな時間

  • ミスしても笑って許し合える空気感

これらは、競争や効率優先の社会ではなかなか得られない、人と人の“間”を大切にする文化に満ちています。


■ 「できる」「できない」を越えた世界

この作業所では、人それぞれ得意・不得意があります。
でもそれは、「評価」のために比べられることはありません。

  • 手先が器用な人は、クラフトやパッケージ作業で輝く

  • 丁寧な人は、仕分けや清掃で力を発揮する

  • パソコンが得意な人は、データ入力で活躍する

  • おしゃべりが上手な人は、接客や販売の場で頼りにされる

誰かができないことを責めるのではなく、誰かの“できる”を引き立てる仕組みがある。
それが、作業所という場のやさしさです。


■ 支援ではなく“共に働く”という視点

支援者と利用者。
一見すると「支える側」「支えられる側」という関係に見えるかもしれません。

でも、現場ではそんな境界はとても曖昧です。

  • 一緒にテーブルを囲んで作業をする

  • 昼休みに他愛ない会話を交わす

  • 作業が終われば同じように「お疲れさまでした」と声をかけ合う

こうした日々の積み重ねは、人と人が「対等」であることを教えてくれます。
それは、競争でも上下関係でもない、“共にある”という感覚です。


■ 自分の存在が誰かの役に立つ実感

この作業所では、完成した商品が地域の人たちに届きます。
たとえば:

  • 手作りのお菓子や雑貨

  • 農作物や手工芸品

  • パンフレットやラベルなどの印刷物

それを手にした人から、「ありがとう」「また買いに来るね」と言ってもらえる。
その言葉が、働く人の中に“自分の価値”を灯していきます。

「ここにいる意味がある」
「自分にも誰かの役に立てることがある」

そう実感できる場所が、この社会にどれだけあるでしょうか?


■ 静かな場所だからこそ見えるもの

毎日、黙々と作業に打ち込む日々。
時に単調に見えるかもしれませんが、そこには**社会が本来持つべき“リズム”や“まなざし”**が詰まっています。

  • 相手を急かさないペース

  • 話を最後まで聞く余裕

  • 小さな変化に気づく感性

  • 一緒にいて落ち着く安心感

現代社会が失いがちなこれらの感覚を、作業所はそっと思い出させてくれます。
それは、効率や数字では測れない“人間らしさ”の証です。


■ 地域とつながる未来

この作業所では、地域とのつながりも大切にされています。

  • 地元の直売所での販売

  • 近隣住民とのあいさつや交流

  • 子どもたちとのふれあいイベント

  • 商店街の清掃やお手伝い

こうした活動を通じて、「障がい者」ではなく、「地域に暮らす一人の住民」としてのつながりが生まれています。

「助ける」「助けられる」ではなく、「支え合う関係」が根づいていく
それは、社会の可能性を広げる第一歩です。


■ 作業所から学べることは、社会全体に通じる

福祉施設というと、限られた人たちのための場所に思えるかもしれません。
でも、ここで育まれている価値観や考え方は、**すべての人に必要な“生き方のヒント”**が詰まっています。

  • 人は誰かと比べなくてもいい

  • 自分のペースで生きていい

  • 誰にでも居場所はある

  • どんな関係も、やさしさから始まる

作業所は、そうした**“当たり前なのに見失いがちなこと”を、毎日教えてくれる場所**なのです。


■ まとめ:本当の社会とは何か?

スピード、競争、結果重視。
私たちが慣れてしまった社会の姿は、本当に「すべての人にやさしい」ものでしょうか?

鴨宮の一角にある、静かな作業所。
その日常には、数字では測れない豊かさがあります。
そこでは、人の弱さも強さも、あるがままに受け止められているのです。

本当の社会とは何か――。
それを知りたいなら、ぜひ一度、こうした場所に目を向けてみてください。

「社会を変える」のではなく、「社会の見方を変える」きっかけが、そこにあるかもしれません。

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