近年、障がいのある方が地域で安心して暮らすための拠点として「グループホーム」が注目を集めています。中でも、“共に生きる”という理念を大切にした支援の形が、福祉の現場をじわじわと変え始めています。
この記事では、グループホームでの日常や取り組みを「活動日記」というかたちで紹介しながら、障がい者支援の新しいあり方について、やさしく、わかりやすくお伝えします。
グループホームとは、障がいのある方が自立した生活を営むための住まいです。スタッフの見守りや支援のもと、共同生活を送りながら、地域の中で暮らしていきます。
グループホームには大きく分けて2種類あります。
介護サービス包括型:日常生活全般に支援が必要な方が対象
自立生活援助型(サテライト含む):比較的自立した生活が可能な方が対象
入居者は、支援スタッフのサポートを受けつつ、料理・掃除・洗濯といった家事や、地域との関わりを通して、少しずつ生活の幅を広げていきます。
ここでは、グループホームの「とある1日」を切り取って、リアルな日常をご紹介します。登場する人物は仮の存在であり、あくまでモデルケースです。
ホームの朝は、静かなアラームの音で始まります。起床時間は個人のペースに合わせており、無理に起こすことはありません。
早起きが得意な利用者は自分で身支度を整え、食卓へ。朝ごはんはスタッフが用意したバランスのとれた献立。苦手な食材は無理に出さず、工夫を凝らして提供されます。
それぞれの利用者が、通所先の事業所や就労施設に向かいます。スタッフは安全確認と見送りを行い、その後、ホーム内の掃除や事務処理を行います。
日中は、利用者のいない時間を利用して、スタッフ間でのミーティングや記録の共有を行います。支援の質を保つために、毎日の報告と話し合いが欠かせません。
夕方になると、利用者が順に帰ってきます。「おかえりなさい」の声とともに、自然と笑顔があふれます。仕事や作業所での出来事を話す方、静かに休む方、それぞれの過ごし方を尊重します。
スタッフは服薬のサポートや、必要に応じて体調チェックを行います。ちょっとした異変に気づけるよう、日々の関わりが大切です。
夕食は、利用者とスタッフが一緒に準備することも。包丁を持つのが難しい方には、盛り付けや食器並べなど、できることをお願いするようにしています。
食事中は笑い声が絶えません。テレビの話題、天気のこと、通所先での出来事など、小さな日常が安心感をつくります。
入浴や歯みがきを済ませ、徐々に夜の支度へ。好きな音楽を聴いたり、本を読んだり、それぞれのリラックスタイムが流れます。
スタッフは夜間も交代制で常駐し、急な体調不良や不安があったときにすぐ対応できる体制を整えています。
グループホームには、入居者・スタッフ・地域のすべてにとって多くのメリットがあります。
ひとりひとりの特性に応じた支援が受けられ、プライベートの時間も大切にされます。施設ではなく「家」としてのあたたかさがあります。
ホームを拠点に、仕事・買い物・交流イベントなど、地域と関わる機会が増えます。「地域で暮らす」ことが自然になっていきます。
スタッフの見守りや入居者同士の関係が、精神的な支えとなります。一人で悩まずに済む環境が、穏やかな日常を支えています。
グループホームでの支援は、ただのお世話ではありません。利用者が自立した生活を送れるように「伴走」することが役割です。
時に見守り、時にアドバイス
喜びを共に分かち合い、困りごとを一緒に考える
その人の「できる」を伸ばす
支援スタッフに求められるのは、技術や知識以上に、「その人を理解しようとする姿勢」や「まっすぐなまなざし」です。
グループホームが地域に根差すことで、自然と周囲との関係性も育っていきます。
ご近所との挨拶から生まれる信頼
地域イベントへの参加
商店や医療機関との連携
地域の人たちが「障がいがある人」と構えるのではなく、「近所に住むあの人」として接することが、真の共生につながります。
もちろん、課題がないわけではありません。
スタッフの人手不足
支援の質のばらつき
入居希望者の増加に対する住まいの不足
それでも、現場では日々試行錯誤を重ね、柔軟な支援の形を模索しています。
従来の「施設」に代わる支援の形が、グループホームです。
「自立」とは、すべてを一人でやることではありません。
誰かに支えてもらいながら、自分のペースで生きること。
その実現を、グループホームという仕組みが支えています。
障がいがあっても、誰もが「ふつうに暮らしたい」と思うのは同じです。
グループホームは、その願いに寄り添うかたちで、日々進化を続けています。
「支援される人」ではなく、「地域で共に暮らす人」として生きる。
そんな姿を、もっと多くの人に知ってもらいたいと願っています。
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