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人生〜きのこ栽培就労訓練から見えた光

「働くこと」ってなんだろう?
「人生にとって大切なもの」って何だろう?

そんな問いに、少しずつ答えてくれる場所があります。
それは――きのこ栽培を通した就労訓練の現場です。

この記事では、きのこ栽培による障害者就労支援をテーマに、「仕事」と「生きがい」がどう結びついていくのか、じっくりと掘り下げていきます。
支援の現場で見えてきた希望の光、そしてそれが私たちの社会にどんな意味を持つのかを、ていねいに伝えていきたいと思います。


就労訓練ってなに? きのこ栽培との出会い

まず、「就労訓練」とは、一般企業などで働く前に、生活リズムや作業スキル、人間関係の基本などを身につけるための支援プログラムです。

障害のある方や、ひきこもり・ニート・精神的不調を抱えていた方など、「すぐに働きに出るのは不安」という人たちが、自分のペースで社会に近づくことができる場所でもあります。

その中でも最近注目されているのが、きのこ栽培を取り入れた就労訓練です。

  • 作業が繰り返しで覚えやすい

  • 屋内作業が多く、天候に左右されにくい

  • 成長が目に見えてわかるので、やりがいを感じやすい

こういった理由から、きのこ栽培は支援現場と相性が良く、多くの福祉作業所や就労支援事業所で導入され始めています。


きのこ栽培の一日

きのこ栽培の現場では、決まった工程を地道にこなしていくことが求められます。たとえば、以下のような流れです。

  1. 菌床の棚上げ(菌床をハウスに入れる)

  2. 温度・湿度の管理(生育室の環境管理)

  3. 収穫(成長したきのこをタイミングよく摘み取る)

  4. パッキング(パック詰め、ラベル貼り)

  5. 出荷準備(軽作業や検品)

それぞれの工程には、「手順を守る」「清潔に作業する」「時間を守る」など、働くうえで大事な基本が詰まっています。

最初は難しくても、少しずつ慣れてくると、「この作業は自分に合っている」「毎日やっていると落ち着く」といった声が出てくることも少なくありません。


成功体験が心の栄養に

きのこは手をかけた分だけ、ちゃんと育ってくれます。

たとえば、水のやり方ひとつで発育が変わったり、空気の流れに気を配ることで、きれいなかたちのきのこが育ったりします。
そんな「自分の工夫が成果につながる」感覚が、利用者の方の大きな自信になっていきます。

ある日、「このきのこ、自分が担当して育てたやつなんだ」と笑顔で話す人がいました。

社会との接点がなかった時期には見せなかった表情が、日々の作業の中で変わっていく。
その小さな変化の積み重ねが、やがて自立への一歩へとつながっていきます。


就労移行支援から一般就労へ

きのこ栽培の訓練を通じてスキルを身につけた利用者の中には、実際に企業で働き始める人も出てきます。

  • 地元の農家や農園での仕事

  • 食品工場でのパッキング作業

  • 物流倉庫での仕分けや検品

  • 清掃業務や軽作業のアルバイト

特別な才能ではなく、「コツコツ取り組める」「丁寧に作業できる」などの基礎力が評価され、就労のチャンスにつながるのです。

もちろん、すぐに仕事に就ける人ばかりではありません。でも、焦らずに「準備期間」を過ごすことができるのが、就労訓練の良さ。
「働けるか不安…」という状態から、「自分にもできることがある」と思えるまでの支えが、この訓練の大きな価値です。


社会の中で役割を持つことの意味

きのこ栽培の就労訓練で得られるのは、単なる作業スキルだけではありません。

  • 時間を守ること

  • 他人と協力すること

  • 成果を分かち合うこと

これらすべてが「社会の中で生きる力」になっていきます。

「ありがとう」「助かったよ」という一言が、どれほど心の支えになるか――
きのこ栽培というシンプルな営みの中に、人とつながる喜びが確かに存在しているのです。


SDGs・地域連携の観点からも注目

最近では、就労訓練としてのきのこ栽培が、SDGsの目標達成地域活性化の面でも注目されています。

たとえば:

  • 廃材や食品残渣(ざんさ)を培地に利用することで、環境負荷を軽減

  • 地産地消による地域経済の循環

  • 高齢者や障害者が一緒に働く、共生社会の実現

こうした取り組みは、福祉の枠を超えて、持続可能な社会づくりにもつながっているのです。


植物のように、人もゆっくり育つ

人生に近道はありません。
それでも、人は誰でも変わっていけるし、咲くタイミングは人それぞれ。

きのこが、静かに、でも確実に育つように――
就労訓練の現場では、今日も誰かが、少しずつ自分の「人生の根」をはっているのです。

「何もできない」「何もない」と思っていた日々に、小さな光が差し込む。
それは、支援を受ける側にも、支援する側にも、勇気をくれる瞬間です。


まとめ:きのこ栽培が教えてくれること

就労訓練といえば、つい「働くための準備」とだけ捉えられがちです。
でも実際には、それ以上の意味があることを、きのこ栽培は教えてくれます。

  • 生活リズムが整う

  • 自分のペースで達成感を得られる

  • 社会とつながるきっかけが生まれる

  • 自信と希望を取り戻せる

きのこの成長には時間がかかります。
でも、あせらず、水と空気とほんの少しの手間をかければ、必ず育つ。

人も同じです。
どんな背景があっても、どんな障害があっても、きっかけさえあれば、人は何度でもやり直せる

それこそが、きのこ栽培就労訓練から見えた「光」なのです。

 

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